ハイパースペクトルとは

ハイパースペクトルカメラの歴史

ハイパースペクトル技術は、元々リモートセンシング分野における、地球観測から生まれてきました。

1969年のCCDの発明を機に、分光情報を画像として計測する技術開発が進み、1980年代に、カリフォルニア工科大学のA.F.H. Goetz (Science 1985)らよりハイパースペクトルカメラ技術が初めて提案され、まず航空機での実用化がなされました。
当初Imaging Spectroscopyなどの名称で呼ばれていましたが[1]、1990年代にブリストル大のGJ Brelstaff (Proc. SPIE 1995)らが「ハイパースペクトルカメラ(Hyperspectral camera)」という名称を使って以来[2]、現在ではより馴染みの良い本名称が一般化しています。

2000年代には、NASAの開発した地球観測衛星EO-1に搭載されたのを皮切りに、衛星リモートセンシングで実用化が進みました。
航空機や衛星に搭載する装置は大掛かりで高価であり、使用途が限定されていたのですが、近年のイメージセンサと、コンピュータ技術の急速な進歩により、小型で携帯可能なハイパースペクトルカメラの開発が可能となり、当社は、独自の内蔵分光スキャン技術を加えて、多くのお客様にご活用頂ける製品の開発に成功致しました[3]

これにより、ハイパースペクトル市場の創出が大きく進み、当社は現在この分野のリーディングカンパニーとして牽引しております。

【参考文献】
[1] A.F.H. Goetz, et al.(1985) Imaging Spectrometry for Earth Remote Sensing. Science, 228, 1147-53.
http://science.sciencemag.org/content/228/4704/1147.long
[2] GJ Brelstaff, et al.(1995) Hyperspectral camera system: acquisition and analysis. Proc. SPIE, 2587, 150–159 .
https://www.spiedigitallibrary.org/conference-proceedings-of-spie/2587/0000/Hyperspectral-camera-system-acquisition-and-analysis/10.1117/12.226819.short?SSO=1
[3] Y Takara, et al.(2012) Remote sensing applications with NH hyperspectral portable video camera. Proc. SPIE, 8527, 85271G.
https://www.spiedigitallibrary.org/conference-proceedings-of-spie/8527/85271G/Remote-sensing-applications-with-NH-hyperspectral-portable-video-camera/10.1117/12.982018.short?SSO=1

スペクトルとは

光は波であり、粒子でもあります。この波の周期(波長)の違いで、物体の色の見え方は変化します。
また、物体の特性や状態もこの波長を分析することで、解明することができます。

<光の性質>

光は波であり、粒子でもあります。光を波として捉えた時に、この波の種類に応じて、物体の色の見え方は変化し、例えば、可視光線の中で波の周期が長い光を赤色、短い光は紫色として、人間は認識します。(右図)この波長を分析することで、物体の特性や状態を解明することができます。

この波の周期の違いは、「波長」と呼ばれ、その波長の違いにより光の種類が区別されます。波長を表す単位は「nm(10億分の1メートル)」として表現でき、人間が見える可視光線は380nm付近~780nm付近の領域を指します。

この波長を細かく分析する手法を「分光」と呼び、分光することで、物体の特性や状態を詳細に分析することができます。その分光によって分けられた光の要素は「スペクトル」と呼ばれ、分光分析はスペクトル分析とも呼ばれています。

<人間が光を捉える仕組み>

人間の目は「錐体細胞」と呼ばれるセンサーの役割をもつ視細胞により、可視光線を赤・緑・青(RGB)の3色に分けて光を認識しています。例えば、人間がイチゴを赤色と認識するのは、イチゴが青、緑の波長の光を吸収し、赤の波長の光を反射しているからです。

一般的なデジカメやビデオカメラも、この3色を合成することで、人間の目に似せた色データの取得を行っています。

スペクトルが可能にすること

スペクトルを用いることで、非破壊・非接触で物質の特性や状態を評価することができます。

<スペクトルの可能性>

分光により、物体が持つ固有のスペクトルを分析することで、人間の目では評価困難な物質の特性や状態を評価することができます。
例えば右図のように、人間の目ではまったく違いがわからない、樹脂、油、粉末の種類を識別することが可能です。

そのため、このスペクトル技術は、分野・業界を問わず、あらゆる場面で活用されています。

当社独自の分光技術 ~内蔵分光スキャン技術~

エバ・ジャパン製ハイパースペクトルカメラは、分光画像取得のために外部にスキャン装置を必要としない、画期的なイメージング分光システムです(特許取得済み)。
お客様の使いやすさを追求し、顕微鏡撮影・屋外撮影等、幅広いシーンでご活用頂けます。

<従来の分光技術の課題>

従来の分光技術では、評価対象物の1ポイント又は、1ラインの分光データを取得するため、カメラ単体で分光画像データを取得することは困難でした。
そのため、ポイント分光器ではそもそも画像構成ができず、ライン分光器では、分光器もしくは対象物を一定速度で動かし、画像構成を行う必要があるため、別途スキャン装置が必要となり、システムが大型化し、使用環境が制約されておりました。

<当社独自の分光技術>

そこで、当社はこれらの課題を解決すべく、コンパクトなスキャン装置をカメラ内部に組み込むことで、カメラ単体で画像1画素ごとに分光情報を迅速に取得できる新しいハイパースペクトルカメラを開発致しました。(従来技術との比較は右図を参照)

その結果、分光画像情報の高速撮影や、屋外での撮影、顕微鏡・内視鏡・望遠鏡等への接続等、汎用性が大幅に広がり、分野・業界を問わず、ご活用頂けるようになりました。

ハイパースペクトルカメラ ~見えない現象を可視化~

ハイパースペクトルカメラは、光を非常に細かく分光することで、通常感知できないレベルで、物体の物質特性や状態を判定できるカメラです。

<ハイパースペクトルカメラとは>

前述の通り、人間の目やカラーカメラでは可視光線を3色に分けて、光を捉えていますが、波長をより細かく分光することで、人間の目では評価困難な物性の違いや、見えない現象を可視化できます。右図の赤色塗装の場合、左側のカラー画像では全て赤色に見えますが、分光することで、右側の解析画像のように評価困難な塗りムラが可視化されています。これは塗装の厚い部分と薄い部分に人間の目では認識できないほど微小な波長ごとの光の強度(スペクトル分布)の違いが存在し、それを評価している事例です。

このように波長を細かく分光し、連続した数多くの波長要素(約100以上)を取得できるカメラは「ハイパースペクトルカメラ」と呼ばれています。

人間の目やカラーカメラで取得するデータとハイパースペクトルカメラで取得するデータの違いは右図の通りです。目視やカラー画像は奥行き方向に3色しか情報がありませんが、ハイパースペクトルカメラは数多くの波長情報を取得できることが分かります。
この技術により、従来客観評価が困難であった対象や現象を可視化することができます。

最新の研究開発と充実のサポート

当社製品はすべて自社で開発・製造を行っております。また専門のスペクトルアナリストを有しておりますので、お客様のニーズに合わせたカスタムモデルの開発や計測・解析のご相談にも対応しており、アフターサービス体制も充実しています。

<自社開発・自社製造>

当社は東京都港区に研究拠点を構え、専門のスペクトルアナリストが複数在籍しております。そのため、ハードからソフトまでの開発をすべて自社で行っており、標準モデルだけでなく、お客様のニーズに合わせたカスタムモデルにも対応しております。
例えば、波長分解能が0.3nmの超高分解能モデルや動画でのスペクトルイメージングを可能としたビデオスペクトルカメラなど、様々な開発実績がございます。

<アフターサービス>

機器の販売だけでなく、過去の豊富な計測・解析経験を活かし、お客様の課題解決までしっかりフォローさせて頂きます。また、国内メーカーでありますのでメンテナンスやアップグレードにも迅速に対応することが可能です。

研究拠点
【品川クリスタルスクエア】

そしてスペクトルは動画の時代へ

ハイパースペクトルカメラの常識を打ち破り、動画でのスペクトル計測を可能にしました。

<スペクトルは動画の時代へ>

2017年に当社は大きな技術革新を行い、分光画像を動画レートで取得する技術開発に成功しました。
これにより、自動運転技術への活用や、生体情報のリアルタイムモニタリング、FA検査、IT施工、ドローンへの搭載など、様々な現場へのスペクトルの活用が始まっています。
従来は静止画しか取得できなかったため制約を受けていた分光技術ですが、新たな産業用途への活用がまさに始まっています。
詳しくは以下動画資料をご参照下さい。